11月21日。




結局昨日恵美は、深夜までホテルで寝ていて、朝方に家に帰ったらしく…。

昨日あったことを恵美に話したら、恵美も綺羅と同じことを言ってた。

恵美は亜紀がしたいようにしたらいいって。

亜紀がもうお店には行かないって言うなら私も行かないし、もとは亜紀が行かなきゃみんな行ってないわけだしって。


どうしよう…。

このまま険悪になるのも嫌だし。

K店っていうお店がすごく好きだし。

はっきり言いたいこと言いたいって気持ちもある。

今日の営業が終るまでに決めよう。




恵美:「どうするか決まった??」


亜紀:「今日行こう!」


恵美:「それでいいの??」


亜紀:「うん。どっちにしても文句くらい自分で言わなきゃ。」




とりあえず新宿まで来ちゃったけど、T君に電話したらドライブモードになっててつながらない。

お店に電話してみたら、まだ来てないけど今日は出勤予定ですって。

まだ来てない…だけ??

お休みっぽいなぁ。


せっかく来たのに…。

って感じだった。

またT君はいない。

土曜日休んだのに?

今日は月曜日だよ?

ここ最近体調があまり良くないって言ってたけど。




恵美がT君いないならR店に行ってみたいって言うからとりあえずR店に。

今日は久しぶりにR店の担当(S君)から営業電話が来て、K店に行くようになってから一度も行ってないし、たまには顔を出してあげようカナって。


S:「マジで久しぶりだな。」


亜紀:「今日は営業電話が来たからたまには応えてあげようと思って。」


S:「営業のつもりじゃなかったんだけど、でもうれしいよ。」


R店にいてもどうも心ここにあらずな私。

気になってることはやっぱりT君。

モヤモヤは消えない。

会話なんてほとんど聞いてなかった。

好きって気持ちはあるのかないのか分からなくなってるけど、このままっていうのが嫌なのかも。

今亜紀が思ってることを全部言いたかった。


結局、R店にいるにもかからわず気になって恵美に頼んだ。


亜紀:「ねぇ。K君にT君来てるか聞いてみてもらえない??」


恵美:「やっぱり気になってるんだ。じゃあ電話してみるよ。」


時刻はすでに6:30。

恵美は電話をしに外に行った。


5分後。


恵美:「今日はやっぱり来てないみたいだよ??」


亜紀:「そうなんだ…。」


実際かなりショック。

ちゃんと話そうと思ってただけに。

何してるんだろ?

具合悪くて寝てるのか、それとも誰かと一緒にいるのかなぁ。

考えてみたら普段彼が何してるのかとか何も知らなかったかも。

基本的に亜紀は詮索はしない。

したところでそれがウソか本当かなんて分からないから。

聞くだけ無駄って思っちゃうんだよね。


亜紀:「恵美は今日はK店行くの??」


恵美:「歌舞伎町に来てるのに行ってあげないのはかわいそうじゃん。顔は出しに行くよ。」


亜紀:「そうなんだ。じゃあ亜紀も行くよ。」


恵美:「行ってもT君いないんだよ?いいの?」


亜紀:「う~ん。でもM君はきっといるから大丈夫♪」


恵美:「そっか。じゃ一緒に行こう!」



その後すぐにR店を出た。

K店に着いたのは7:00くらいだったカナ??




お店に着くとすぐにM君とK君がついてくれた。


M:「今日もTいなくて悪いな。連絡した?」


亜紀:「電話してみたけどつながらないの。ドライブモードになってる(笑)」


K:「Tさんはドライブモードになってるときはだいがい休みなんだよな。」


亜紀:「そうなんだ(苦笑)」


恵美:「じゃあこれからドライブモードになってるときは休みってことだね(笑)」




話の流れで、なんで今日来たのか、T君との事情をM君に話してみた。


M:「う~ん。それはだいぶオラオラだねぇ。」


亜紀:「でしょ??なんか関係ないことで怒られてるの。そりゃ亜紀にも非はあるけどさ。」


M:「Tは最近疲れてるんだよ。俺らにもピリピリしてるし。」


亜紀:「なんで?」


M:「内勤とお店の下の子らの板ばさみになってるからストレス溜まってるんだよ。」


亜紀:「そいえばこの間もシャンパン入れたとき言い合いしてたね。」


M:「もめごとはTが全部間に入って抑えてるとこあるから疲れるじゃん?」


亜紀:「そうだったんだぁ。」


昼間の仕事もあるだろうし、常に責任のある立場で疲れちゃうんだろうけど…。


M:「昨日本当は来ようとしたんでしょ?来るって言ったのに来ねぇよって怒ってたよ。」


M君の言葉を聞いて亜紀の気持ちは決まっちゃった。

もういい。

確かにドタキャンしたのは亜紀が悪いけど、『別にいいよぉ』なんて言っておいてやっぱり怒ってたんじゃん。

自分だっていつも約束はあいまいなのに亜紀の時だけ怒るなんておかしい!!

考えてあげてたことがバカみたいに思えた。

その瞬間に残っていた気持ちは一気に冷めた。


M:「とりあえず、一度話し合ったほうがいいんじゃないの?」


亜紀:「そうだね。」


M:「まぁ、お客さんはわがまま言ってもいいと思うよ?金払ってまで気分悪くなるなんてよくないしね。」


亜紀:「……。」


M君てちゃんと話聞いてくれるなぁ。

こんな小娘のグチなのに。

なんでM君にしなかったんだろ。

なんでM君が隣りに座らなかったんだろ。

すべてはタイミングなのに。

今さら分かっても遅いけど…。


ここ何回かM君と好例のゲームがある。

それはじゃんけん。

M君はほんとにじゃんけん強いの。

勝てたことない。

いつも亜紀が何を出すか読まれちゃう。

いくつか手遊びゲームがあるんだけど、本当ひとつも勝てない…。

ひとつくらい勝てるようにゲームを練習しなさいって言われちゃうくらい(笑)

今日は本当にM君が担当みたいだった。

はたから見たら絶対ヘルプじゃないもん。


K店はお店自体が好き。

でもT君はもういいかも。

なんかいつも言うことがきついから、気を使って疲れちゃう。

まだ誰にも言ってない気持ち。

きっと前からそんな気持ちはあった。




M君を指名したいナ。