指名替えされた時の気持ちって亜紀もよく分かるから、T君に言うか言わないかすごく迷ってた。

最後にK店に行った日から何日か考えたけど、このままT君を指名してても行かなくなっちゃうだろうなぁって。

けどお店はすごく好きだし、別にT君が嫌いなわけでもないし…。


亜紀はこういうとき八方美人なところがあるなぁって思う。

人に牙を向けられるのが恐いというかダルイって考えちゃうから。

恵美はT君に気を使う必要はないって言う。

確かに彼は指名替えしたいって言っても文句を言うことはないだろうナって思う。


けど…

でも…

やっぱり…

同じことグルグル考えて。



11月??日。



相変わらず最後に行った日からT君からの連絡はなかったけど。

仕事が終ってT君に電話した。


T:「久しぶりじゃん。どうしたの?仕事終った?」


亜紀:「うん。終った。」


T:「何かあった?」


亜紀:「あのね、亜紀が指名替えしたいって行ったら怒る?」


T:「怒らないよ?」


亜紀:「そっか。」


T:「誰にしたいの?」


亜紀:「……Mちん。」


T:「いいよ。」


亜紀:「ごめんなさい。」


T:「気にするなよ。よくあることだし。気にされるほうが嫌じゃん。」


亜紀:「うん。T君のことは嫌いになったわけじゃなくて…いろいろ考えたんだけど。でも平気かな?綺羅と被っちゃうじゃん。」


T:「その辺は大丈夫だと思うよ。」


亜紀:「本当にごめんね。」


T:「ああ…。でもお店に来たくなくなっちゃうよりはいいからさ。」


亜紀:「ありがとう。」


電話を切った後もやっぱり申し訳なく思ったけど、でもなんかホストクラブに通い始めて初めて指名替えしちゃった自分にびっくり。

まだお店に行ってないから指名替えしてないけど。



亜紀:「恵美~!T君に言ったよ。」


恵美:「言えてよかったじゃん。T君何も言ってなかったでしょ?」


亜紀:「うん。いいよって。」


恵美:「彼はグチグチ言うような人じゃないからね。」


亜紀:「やっぱり申し訳なさはあるけど。」



これからはMちんに会えます♪