11月16日。
明日は綺羅の誕生日☆
T君からメールが来た。
T:「おはよう!がんばってる??明日みんなで行くからね。」
前々からT君、M君、K君の3人でお祝いに来るって言ってた。
M君からケーキ代ももらってるし、たぶん来るんだろうけど…。
早く会いたいかも♪
11月17日。
何時くらいに来るのかとか聞いてないし、いつ頃来るんだろうって思ってたけど、T君たち結局来なかった。
綺羅のお誕生日だったから亜紀は記憶が無くなるほどかなり酔っ払ってて、時間に気づいてなかったけど。
気がついたら営業終了間際で。
ちゃんとM君に言われたとおりケーキ買っておいたのにさ。
営業終了の時間になって、お客様送り出しのとき、綺羅が言った。
綺羅:「ねえ!外にT君たちいるよ。」
亜紀:「本当に!?」
間に合わなかったのかな?
にしても時刻はもう2時。
綺羅:「お店の前のコンビニにいるよ。来たことは来たんだね。でもこんなギリギリで入れるわけないじゃん。」
内心亜紀もムッとしてた。
だってT君は一度お店に来てるわけだし、道は分かってるはずなのに。
なんでこんなギリギリに来たんだろうって。
せっかくの綺羅のお誕生日なのに。
営業終了。
酔っ払ってたからよくは覚えてないけど、とりあえず帰る準備してフロントで携帯を見た。
1:00くらいにT君から着信があったみたい。
でも仕事中は電話に出られないことが多い。
席についていたら絶対ムリだし、ましてや今日なんて綺羅のお誕生日だからヒマなわけがないじゃん。
外をみたらコンビニにはもういなかったからとりあえず電話してみた。
亜紀:「もしもし?帰っちゃったの??」
T:「今もう新宿に向かってるよ。お店は入れなかった。」
亜紀:「2時前じゃ入れないよ。もっと早く来ればよかったのに。」
T:「もっと早く来ればよかったって、何時までやってるか知らなかったし。亜紀の店って融通きかないのな。5分でいいから入れてくれって頼んだのに、もうレジは閉めましたとかなんとか言ってさ。せっかくわざわざ3人集まったのに。俺なんて寝てないしさ。」
けっこう怒り口調??
亜紀:「そうなんだ。」
T:「お前電話かけたのに出ないしさ。」
亜紀:「仕事中は出られないよ。」
T:「俺だけで行動してるわけじゃないんだよ?MもKも早く起きてここまで来たのに。」
亜紀:「うん、ごめんね…。」
私なんで謝ってるんだろう…。
亜紀が悪いの??
そんなわけない!
間に合わなかったのは亜紀のせいじゃないじゃん。
なんで逆ギレされなきゃならないのよ!
最近T君の態度には違和感感じてたけど、これにはさすがに頭にきた。
約束を守らなかったのはどっちだよ!って。
せっかく来たのにとか言われたくない!
亜紀たちのほうが行ってる回数全然多いわけだし、誕生日に来るっていうから悪いなって思ってその分回数多く行ったのに。
それをたかだか一回で『わざわざ来た』って言うなんて恩ぎせがましいにもほどがあるよ。
実際お店に入れなかったのは自分たちの責任なのに亜紀に文句言うなんて…。
この電話をした後、綺羅と恵美に話したら、やっぱりそれは亜紀が文句を言われるのはおかしいってことになって。
恵美:「亜紀は今までわがまま言ってたわけでもないのに…。今回のことはT君に非があると思うよ。」
って言ってくれた。
せっかく楽しみにしてたし、こんなことになるはずじゃなかったのになぁ。
この日は綺羅が誕生日だからって朝まで飲むことにした。
近所のスナックみたいなところ。
でもやっぱりずっとT君のことは心残りというか、煮え切らない気持ちがあった。
しばらくして携帯見たらT君から着信があったみたい。
掛け直したけど出ない。
接客中かな?
疲れてたからその飲み屋さんで寝ちゃってて、恵美の声で起きた。
恵美:「電話鳴ってるよ~。」
T君。
亜紀:「もしもし?電話しなかった?間違い?」
T:「周りうるさいね。どこにいるの?」
亜紀:「うんとぉ、スナックみたいなところかな?」
T:「そっか。今日は本当に残念だったんだよ。店の前まで行ったのに入れなくてショックだった。」
さっきとは違って、急にどうしたんだろ??
亜紀:「そっか。亜紀も変な言い方してごめんね。」
T:「今日は俺キャバクラ行くつもりだったから誰にも営業してなくてお茶だよ。」
それと自分が営業しなかったのは関係ない気もするけど。
責任取って来いって意味?
亜紀:「そうなんだ。じゃあ恵美が行くって言ったら始発で行くよ。」
T:「そういう意味で言ったんじゃなくて…。」
じゃあどういう意味だっていうのよ。
違うならそんなことわざわざ言わなくてもいいのに。
亜紀:「だってそんなこと言われたら責任感じちゃうじゃん。」
T:「とりあえず今日はムリして来なくていいよ。」
亜紀:「分かった。」
本当は言いたいことあったけど、なんか亜紀の性格上、言い争いを避けちゃう癖がある。
丸く治めたいって気持ちのほうが強くていつも他人にあまり文句が言えない。
T君なんか、言い方に威圧感があるから何か文句を言っても3倍返しされそうで恐いし。
亜紀:「恵美。今からT君のところに行ってもいい??」
恵美:「う~ん。亜紀が行きたいなら付き合うよ。」
綺羅:「それじゃ完全に相手の思うツボじゃん!行かないほうがよくない?」
会話を聞いていた綺羅が助言する。
亜紀:「でも…。なんか嫌味言われたみたいでムカつくし。分かってるけどさ。」
恵美:「それで納得できるならいいんじゃない??」
時刻はもう7:30。
ダッシュで新宿に向かう。
T君には今から行くって言わなかった。
お店に入るとまたM君がヘルプについてくれた。
M:「今日は本当にごめんな。もっと早く行けばよかったよな。」
亜紀:「5分でいいからって言ったのに、入れてくれなかったお店側にも問題あるよ。」
M:「綺羅何か言ってた??」
亜紀:「心配しなくても大丈夫だよ☆」
M君とK君は間に合わなくてごめんって感じだったのに、T君だけが文句を言った。
やっぱり普通は心で思ってなくても謝るのが普通だよね??
なんでT君は亜紀に文句を言ったんだろ…。
しばらくして亜紀に気づいたT君。
T:「なんで来てんだよ!?(笑)」
亜紀:「なんとなく。」
自分がお茶だとか言ったくせにさぁ…。
聞きたかったことをちらっと聞いた。
亜紀:「なんでさっき怒ってたの??」
T:「もっと早く来ればよかったじゃんって言われたから。」
亜紀:「間に合わなかったって言ったから言っただけじゃん。」
T:「俺はさ、これでも一応夜の11時から動いてたんだよ。MとKと合流するために。3人で集まってそっちに着いた頃には1:00くらいになっちゃってさ。Kの車で来てたからパーキング止めるのにまた時間かかって。なのに亜紀にあんなふうに言われたからさ。」
じゃあ前もって何時までやってるのかとか亜紀に聞いとくべきだよとか、もっと早い時間に電話してくれれば問題なかったのにとかいろいろ思ったけど、来ようとしてくれたことは事実だし、お店の前まで来てで交渉してくれた気持ちに感謝して言うのをやめた。
亜紀:「そっか。でもわざわざ来てくれたんだもんね。ありがとう。」
一応仲直りかな?
なんかあんまり雰囲気悪いのは好きじゃないし。
これが綺羅の言うとおり、T君の思うつぼだとしてもケンカになるよりはいいと思った。
今日は普通に帰るつもりだったんだけど、K君が恵美にご飯を食べて帰ろうって誘ったみたい。
当然T君と亜紀もってことになる。
でもT君は今日はまっすぐ帰ろうって言ってた。
当然だよね。
昨日寝てないもん…。
ムリにアフターはさせたくなかったのもあるし、寝てないのに申し訳なくて。
みんなで焼肉屋に行ったんだけど、T君はご飯食べてから寝ちゃってた。
後から後輩の子も2人来て、なんか楽しかったぁ♪
今日は新宿に恵美と泊まることにしたからT君とみんなを見送ってバイバイした。
今思えば、きっとこの辺りからT君に対する気持ちが冷めてたんだと思う。
なんだろう。
なんかもうちょっと謙虚な人かと思ったのに…。
思い違いだったカナって。